スーツ生地は色柄に加え
生地自体の質で選択することも重要です。
今回はその生地について勉強しましょう。
良い柄を見つけても、繊細過ぎたり、織が甘すぎたりすると
摩擦により穴があいたり、毛玉がすぐできてしまいます。
基本の選択基準になってくるものは「Super○○‘s」、「糸番手」、「打ち込み数」=「重量」です。
「Super○○‘s」
毛一本の太さを表します。
「糸番手」
糸の太さを言い、どちらも数字が大きいほど細く繊細になります。
「Super○○‘s」で言いますと、最近ではSuper100‘s~120‘sが
耐久性と上質感を兼ね備えた実用的なスーツ生地の範囲となります。
Super150‘s以上に至っては高級生地となり、頻繁に着用するスーツ場合には不向きです
通勤などの摺れですぐに痛んでしまい、高級なうえに価格も上がります。
ただし、Super150‘sなどの表記があったとしても100%の割合でSuper150‘sの糸が使われているとは限りません。柄の関係や補強の為もあります。
しかし中には数%しか使われていないのにSuper150‘sと
表記されていることもありますので、気をつけなくてはいけません。
(ちなみにSuper80‘s以下の表記はありません。)
数字の意味は原毛(刈りとって何も手を加えていないウール)1㎏で何㎞の糸が紡げるかの数字で
Super100‘sなら、原毛1㎏で100㎞の糸が引けるという理論上の数値です。
何故理論上かと言いますと、
実際にはクリンプという縮れがウールにはあり、
直毛状態にして紡ぐと脆くなり切れてしまうからです。
実際の糸は直毛状態から縮れて50~70%短くなった状態のウールを紡いで糸にしていきます。
その糸の太さの表記が「糸番手」ということになり、
原毛1㎏で何キロの糸が引けるかの実際の数字となります。
Super○○`s表記で毛の質を見て、番手でどれくらいしっかりと糸状に紡いであるのかの確認をします。
糸番手はウールでは72番手以上が細番手と言って繊細な糸になってきます。
Super100`sで60番手の生地となれば、ゆるくふんわりとした糸を使っていることになります。
着心地は軽くてソフトですが毛玉が出来やすく解れやすい。冬は寒いと感じるかもしれません。
しかし、ここで確認したいのが「打ち込み数」です。
これがしっかりしていれば生地の痛み、保温性は改善されます。
打ち込みとは生地巾150×100㎝四方に織られている糸の本数です。
一般的には1メートルあたりのグラム数で表記されています。
適度に調整された打ち込みであれば目が詰まったしっとりとした重量感のある生地になります。
しかしこれも他の項目同様に打ち込みが多すぎると
固い生地になりごわつきになります。
Supe○○‘s表記、糸番手、打ち込み数(重量)のバランスが良い生地は
軽くて肌触りの良いソフトさを持ち同時に重量感のあるドレープを備えた上質な生地になります。
生地裏に記載されている表記の仕方も、生地ブランドによって異なりますので
何よりも実際に触ってみて、ご自身が1番気持ち良い思う物が1番ですね。
【Dandyism JAPAN】では、お客様に寄り添ってスタイリストとスーツコンシェルジュがご提案いたします。
黒田