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袖口仕様

オーダースーツの楽しみの一つ、オプション選択。
しかし、実際はオプションを付けてデザインしていくのは、どのようなものがあるのか、料金はいくらかなど、選択するのは難しいのではないかと思います。そこで、少しづつこのブログを通じて、ご紹介させていただこうと思っています。お付き合いのほどよろしくお願いします。

今回はジャケット袖口の人気オプションを2つほどご紹介いたします。
1、本切羽
2、重ねボタン

1、「本切羽」とは袖口ボタンを開閉できる仕様にすることです。

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通常、既成服(高級品は袖丈調整と同時に本切羽にできます)では袖丈の調整がしやすいように、穴をあけていない、ボタンホール型に刺繍したものの端にボタンが付いている仕様です。そして、なるべくほどき易くするため、簡素な縫いにしています。

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しかし、「本切羽」は開閉が出来る為、目の詰まったしっかりした作りのボタンホールになっていますので注意して見ると、拘りを感じられる部分です。

もともとの由来は手を洗う時、袖をまくりやすくする為、という説や、ナポレオンが寒い土地に出かけた時、兵士が袖口で鼻をこすり、跡になるのを見て、みっともないのでボタンを付けたという説、また「本切羽」は別名「ドクターカフ」と呼ばれます。それは、ヨーロッパではシャツは下着とされ、上着を脱ぐのは失礼となります、しかしお医者さんが手術などの時、上着の袖が邪魔になる。ということで袖が開閉できるようにした。という説もあります。
ちなみにですが、ボタンの数は出身を表すそうです。
スーツはイギリス発生なので、イングランドなら4つ、スコットランドなら3つ、ウェールズなら5つになります。

話がそれましたが、「本切羽」がなんらかの実用性から発生した仕様なことは間違いなく、ボタンを開閉できることが「本物感」となっていることも人気の一つ。
ちなみに「本切羽」を知っている方は、他の方のジャケットの袖口をこっそりチェックしていたりしますし、「本切羽」をきっかけに一話題作れたりします。

是非お試しくださいね。

次は「重ねボタン」です。
標準仕様ではボタンの端同士がぎりぎり触れる程度から2,3㎜離したものが普通ですが、これは袖ボタンを1㎜づつ重ねる仕様のことで、イタリアのテーラーが技術の高さを示す遊びとして始め、人気が出て定着しました。

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ボタンが重なることで立体感が出て、袖口のアクセントになるので、イギリスでもイタリアでも見られる認められたエレガントな仕様です。また、重なっていることがキスしているように見えるので「キッスボタン」というかわいらしい呼び名もあります。

価格はスタンダードで¥1.000-。プレミアムでは無料で選択できます。

こちらも楽しみの一つとしてお勧めです。

ここで、これらの仕様を施したお客様のスーツをご紹介。

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「本切羽」、「重ねボタン」さらに、「ボタンホール色糸変更」、「ボタン5つ」となっています。

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オーダーだから出せる、シルエットの綺麗さと、袖に遊び心を加えた自分だけのスーツ。

是非お試しくださいませ。